人はなぜ変わるのでしょうか。
自分を変えたくて自ら変わる事を望む人もいれば、自覚がないままに人から「変わったね」と言われて自分が変わった事に気づく人もいます。
私の彼は自分の変化に自覚がありながらも変わるつもりがあった訳ではありませんでした。
事の発端は、私が旅行で留守にしている間に起こりました。
彼の経験の事なので100％正しく理解出来てはいませんが、流れは以下の通りです。
私の彼には長く続けているスポーツがあってそれを人に教えたりしているのですが、人に教えるにあたって基本的な動きや理論をもう一度自分なりに研究していたとの事です。
彼自身そのスポーツを専門的な学校で実技や座学を学んだ時期もありプロ資格も取得している立場で、時にはスランプなども経験しながら人生の大半の時間をそのスポーツに費やして向き合って来ていたのですが、私が留守の間に研究に没頭している時に人間の体の動きは至ってシンプルで今まで自分は考え過ぎていたという事に気がついたらしいのです。
体を動かすとその通りに体は動くというただそれだけの事なのに、今まで自分が人や学校から教わった知識や理論がそれを難しい事のように見せていて、原点が見えなくなっていたという事でした。
例えばスランプに陥る時というのは結果が出せず伸び悩んでいる状態だと思いますが、乗り越える方法のひとつとして、体の動作に対して教科書などどこか他で目にした知識や習った動きと自分の動きを比べて、自分が正しいとしている知識の方に自分の動きを近づけようとするのですが、その知識というものを視覚的にではなく言葉で仕入れていたとすると、まず言葉の意味を頭で考えてその意味を体に伝えてようやく体が動くということになりますが、この言葉で仕入れた知識を理解するという作業が難解だったりします。
教科書というものは往々にして単純な事を小難しく書く傾向にあると思いますが、もしも“ジャンプをする方法”という項目があったとしたら、【⑴まず体を30度傾けながら軽く膝を曲げる⑵重力に従うようにさらに腰を落とす⑶自分の体重を脚に乗せる⑷脚を伸ばしながら上に向かって一気に溜めていた力を放出する⑸高く飛びたい場合は腕を一緒に振ると尚良し】とかなんとかおそらくこんな感じで書かれているのではないでしょうか。
いや、分かりづらいわ。自分の体重を脚に乗せるてなんやねん。
あれですかね、鍋を作る時に野菜をざっくり切って愛情と一緒にまとめて放り込んで蓋をしておけばいいものを人参は飾り切りで蝶々にして火の通りにくい固い食材から順番に鍋に入れていかないといけないみたいな事でしょうか。
水菜は食べる直前に。
行儀作法抜きにすると食べ物も本来は手で食べても端のフォークから順に使って食べても味は同じという事ですかね。
すっぴんでいいのに化粧しないといけないみたいな。
例えがうまく思いつきませんでしたが、スポーツでも趣味でも何かを新しく始めたり、いつもと違うメイクやファッションを試してみる時など、何事も初めは手引きとなるようなお手本やマニュアルがあると理解しやすいけれどそれらに頼ってばかりになると模倣癖がついてしまい、「こうしなければいけない」や「こうあるべきだ」という概念に囚われやすくなり結果的に自分が本来持っている感性や能力を活かす事が出来なくなるという事だと思います。
やる気があればお手本やマニュアル無しでも自分の力だけで大抵の事は出来ますしね。
サーフィンを始める時にスクールに入って教えてもらうのかとりあえず板を入手して海に飛び込んでみるのか。
料理をする時に大さじで計るのか目分量で計るのか。
うどん屋で食べるのか自分で手打ちするのか。
ブログの構築は他の方のやり方やマニュアルをめっちゃ勉強しましたけどw
何事も行動すれば自ずと結果は出るものですが、やり方やプロセスばかりに固執してしまうと肝心の成果を出すという事から遠のいてしまうという事ですね。
理数系の知識がいる場合などこの限りでは無い事もありますが、頭よりも体を動かす事が基本となるスポーツなどにおいては特に顕著であると思います。
この事に気づいた時の彼の衝撃はまさに驚天動地だったようです。
「スポーツの研究を突き詰めたら物事の本質が解った」
この時彼は自分のスポーツに対する長年追い求めていた答えがやっと見つかって、一気に脳がスパークして覚醒したような感覚になったと言っていました。
彼いわく全知全能の神スーパーゼウスになったような気分だったとの事でした。
実際この頃から自分の事を「俺、神やから〜」と言うような事があり、新興宗教の教祖にでもなるのかと思いました。
また他人を見下したような発言を取る事もあり、そういった態度の彼を見る度に違和感でいっぱいで、（本当の神様は自分で自分の事を神とか言わんし人の事を悪く言うはずがない、大体物事の本質が解ったからってなんで急にこんな偉そうやねん、こいつ誰やねん）と、今までの彼と目の前にいる彼が別人すぎて次第に私は（乗り移られたんやな）と思うようになりました。
“乗り移られた”と聞くと突拍子もない事のように思えますが、私が直感的にこう思った事には訳がありました。
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